相続税の税務調査

相続税調査への対応


 相続税調査の非違割合は、約85%に上る。この数字は毎年ほとんど変わらない。調査に入ったらほぼ申告漏れが指摘されると考えた方が良い。

 調査ポイントは「名義預金」「名義株」

「名義預金」「名義株」かの判断ポイントは、一般的に、

①その財産の設定・取得の原資は誰が負担しているか

②誰がその財産を管理・運用・支配しているか

③利息や配当金などは誰が受け取っているのか

④財産の名義人がその財産を有することとなった経緯

などを総合的に考慮し、「名義預金」「名義株」かどうかを判断する。

 

①~④の情報収集のための実地調査ポイントは「預金通・証書、届出印鑑、キャッシュカード、株券・預かり証等を誰が所持しているか」「その保管場所はどこか。例えば、被相続人の自宅の金庫、被相続人の主宰法人内の金庫、被相続人名義の貸金庫ではなかったか」「預金や株式の取引の指示は誰が行っていたか」「預金通帳の保管状況は相続開始時点ではどうだったか」「財産の原資が被相続人の資金の場合は、贈与が行われているか否か、贈与税の申告や納税を行っているか」をチェックするとしている。

 

また、相続税の実地調査においては、銀行等の反面調査は確実に行う。前述の①~④の判断材料として、被相続人の銀行のお金の流れは非常に重要な情報。例えば、預金や株式取引口座の開設申込書、払い出し請求書等の筆跡の確認、銀行や証券会社などの取引担当者の聞き取りを行う。

 

調査担当者は、調査で確認したこれらの事実関係を基に、財産が誰に帰属するのかを判断。結果的に「名義人がその預金等を管理・支配し、自由に処分できる状況にある」ことが明確であれば、「名義預金」と判断する。

このほかにも、税務署では過去の所得税等の申告情報を保有していることから、預金等の入出金をはじめとした各種情報も入手しており、過去の申告の資料や記録等からお金の動きがあればその使途を必ず確認する。